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土曜日は旅の記憶 Vol.13『ポンペイの石膏像の悲しみを通して』





一番記憶に新しい一人旅は昨年の3月のイタリア旅行だ。

大学生の二男の卒業と独立が決まり

ラムマリポの留守番が我が家に居無くなってしまうため

当分出掛けるわけにもいかないわと

この旅のために、頑張って10日間の休暇を作った。




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この旅では少々無理をして、たくさんの街を

列車やバスで移動した。

フィレンツェ、ボローニャ、アルベロベッロ、

ポンペイ、アマルフィ、ローマ&バチカンなどを

言葉や食事に不自由し、時には列車に乗り違え、

時にはバス停が見つからず泣き出しそうになりながらも

自身の『好奇心』を満たしたい一心で観てまわった。




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イタリア滞在6日目に訪れたのは

1世紀までナポリ近郊にあった都市で、

イタリアの世界遺産であるポンペイ。

西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火による火山灰で地中に埋もれ

18世紀に発掘が開始され、

現在は主要な部分が有料で一般公開されている。




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まだ10代の少女だった頃にこの遺跡の存在を知り

それからずっと訪れてみたいと思っていたポンペイだ。

訪れたい理由の大部分は

火山の噴火によって一瞬にして営みを奪われた街は

どんな形で残されたのかを見てみたいという

野次馬根性な好奇心だった。




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実際に訪れてみて

火山灰に襲われ2000年の時を経ているのに

人々の生活の痕跡が

あまりにもリアルに残されていることに驚いた。




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蛇口をひねれば、まだ水が

出てくるのじゃないのと思えるような水道や

住居に敷かれたモザイクのタイルの美しさや

壁の看板文字や落書き。

壁画の色鮮やかなこと

台所の、まだ十分に使えそうなかまどなど。




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確かに2000年前に、この街でこの場所で

たくさんの人々が

笑い、泣き、食事をし、歌い

愛し合って、子供を産み育てていたのだなと

感じる爪痕がそこらかしこに残っていて




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一瞬にしてその人生を奪われた人々の悲しみや叫びが

まだ町中に木霊しているような気配が感じられ

『好奇心』だけで訪れてはいけなかったような

言いようのない悲しみに襲われてしまった。




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私はイタリアの各街のスケッチを残したいと思っていて

小さなスケッチブックと4Bの鉛筆をポンペイでも持参していた。

どこかに腰を下ろして遺跡の様子を描きたかったのだけれど

観光客がどの場所にいても視界に入るので

結局人目を気にして一枚も描けなかった。

それなのに、何かに憑かれたようにあきらめきれず

描く場所を探して3時間も歩き続けてしまった。




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歩き疲れてくたくたになって痛む足を引きずりながら

ポンペイを後にしようと、出口に向う途中で石膏像を目にした。
(辛い方はスルーして下さい。)

一瞬にして火山灰に埋もれた身体が

長い間に肉も骨も融けて風化して無くなり

残された空洞に石膏を流し入れて固めて作った石膏像だ。




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石段の途中で逃げるのに疲れてしまったのだろうか

嘆き悲しんで座り込んだままの姿勢で

人生を無理矢理に奪われてしまった姿が、

そのもがき苦しんだ表情が悲しく哀れで

私は痛む足のことなどすっかり忘れ

数分間呆然と石膏像の人物を見つめていた。




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2000年の時を経て

訪れる人々に何を伝えようとしているのか。

人は同じような営みを毎日毎日繰り返し

累々と後世に繋いでいくのだと伝えているのだろうか。

確かにここにはかつて『日常』が存在していて

一瞬にして奪われた日常の痕跡を通して

何でもない毎日が繰り返されることの意味を

繰り返しこそが幸せなことを伝えているのかもしれない。

その亡きポンペイの人々の意志が漂う遺跡の中で

人目を避けスケッチの場所を探し求め歩き続けていた私の

ちっぽけさをあらためて思い知った場所だった。



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※GW期間中は1週間程パグズとのんびり過ごします。
 更新もお休みにしますので再開しましたら、また遊びに来てくださいね。







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