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土曜日は旅の記憶 Vol.16『モルジブの光さす海。』







16年前、

当時8歳の二男とふたりで

初めてモルジブへ行った。





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その前の年に夫が家を後にしていて

まだ幼い二人の男の子を抱え、途方に暮れる日々だったけれど

なんとか生きる希望を見つけたくて向った

南国のとても美しい1,000もの島から成る国だ。





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その初めての楽園モルジブの旅で

彼の国に魅了され

ふたたび訪れたいという気持ちが生きる支えとなった。





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死に物狂いで働いた。

「母子家庭になってしまったので仕事を下さい。」

仕事先の担当者へ恥も外聞も無く

電話を入れて頭を下げては、仕事を貰った。





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意地もあったのだと思う。

周囲の哀れむように私たち母子を

見る目に耐えられなかった。

長男が同級生に、

父親のことでからかわれたり

逆に気を遣われたりで

辛いと私に訴える。





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父親がいないのは、この子たちの責任ではないのに

辛い想いをさせているのが、私には悲しくて

父親の愛情を与えられないのなら

せめてこの子たちに経済的に不自由な思いはさせたくはない。

父親の役も、母親の役も両方こなして

胸を張って生きて行こうと決めたのだからと

言い聞かせて働いた。






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まだ若くて体力気力があったのだと思う。

また自由業という仕事柄もあって

夫が出て行った2年後に

ささやかだけれど小さなマンションの1室を手に入れた。






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そして、さらにその翌年の8月に

何度も夢に見て恋い焦がれたモルジブへ

ふたたび行くことができた。




それは、最初にモルジブへ訪れ

その楽園の魅力の虜になってから2年後のことだった。





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2度目のモルジブの旅で選んだ島は

素朴な島。

素朴な島というと聞こえがいいけれど

要はリーズナブルなホテルということ。

ゲストの大半はヨーロッパからのダイバーで

私たち母子はその年にその島へ訪れた

2組目の日本人だった。





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ホテルのスタッフはフレンドリーで私たちに優しく

たまたま居合わせた、その年3組目の日本人のゲストの

若いふたりに二男はたいそう可愛がってもらい

飽きる事無く海と魚達と共に遊び、食べ、眠った。



2年前に訪れた時にはまだ小さかった彼は

海に潜る時には私と手をつなぎ浮き輪を頼りにしていたのに

この時には私の手を離れて

スノーケリンングサファリで沖合の珊瑚礁に行った際に

ひとりでボートから下りて海に出っていった。

少し海面で泳いだ後

珊瑚の林から少しだけ見えた海底の砂地に、

丸くて茶色の貝を見つけた彼は

足に付けたフィンで海面を蹴ると

あっと言う間にその貝をめがけて潜っていった。









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私はうつ伏せになって海面に浮かんで

彼の姿を水中眼鏡越しに見ていた。

彼の身体から出るたくさんの小さな泡と

細くて真っ直ぐな茶色がかった黒い髪と

ブルーのTシャツと黄色い海水パンツが

海にさす日の光でキラキラ光り、ゆらゆらと揺らめいて

まるで人魚の男の子が水中で

大きな魚のように自由に気ままに

戯れているかのように見えて、とても奇麗だった。






ほんの数秒の出来事なのに

スローモーションフィルムを見ているかのように

長い時間が経過したような錯覚を起こした後

水中から顔を出した彼の姿が私の目の前にあった。

そして、日に焼けた笑顔で

「はい、お母さん。」と、

私に向って貝殻を差し出した。





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男の子なんだね。




スイミングスクールに通っているわけじゃないのに

お手本になる父親もいないのに

いつのまにか、泳ぎが上手になって。




魚のようにキラキラ光ってて。





もう大丈夫だね。

海に入っても私を頼る事がなかったように

これからは、一人で色々なことが出来るようになってくるんだね。

父親がいなくても君はきっと立派な大人になれるね。

その瞬間に私は確信した。



それほどまでに、海の底に向って貝殻を拾いに行った

青いTシャツと黄色い海水パンツ姿の二男は

逞しくキラキラにひかり輝いていて奇麗だった。



あの時の悲しかった私に

黙って着いて来てくれた8歳の少年は

このとき10歳になっていて

もうすぐ11歳になろうとしていた。





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