七夕日記★織り姫と彦星のはなし

おーい！

隊員１号！

元気でやってるかい？






君が銀色の飛行機に乗って

空の向こうに旅立ってから

今日で１年だ。





あれからボクは１度も銀色の飛行機を見ていないよ。




隊員１号。

今頃何処の空を飛んでいるんだい？








暑かったね。

１年前に君と遊んだ

あの人工芝のドッグランはとても暑かった。





今年の夏はあの夏以上にもっと暑い夏だったよ。








暑くてお散歩もままならない夏だったけど

ふと、空を見上げたら

飛行機雲が浮かんでいたんだ。

君が空から見ているのかな？　って

なんとなくそう思ったんだ。








あれから

人間の世界では色々あったらしいよ。

でも、人間の世界で起ったことなんて

ボクにはちっとも関係ないからね。








ボクは覚えているよ。

あの日の楽しかったこと。

人工芝の上で回転するスプリンクラーの

冷たい水を追いかけて遊んだ事

水の匂い

熱した空気の匂い

ギラギラ光る太陽のせいで

ガハガハと荒い息をした君の匂いを

ボクは覚えているよ。







これから先も

ボクが生きている限り

人間の世界に何がおこっても

ボクは忘れないよ。

一緒に遊んだあの夏の日のことと

夏の匂いと君の匂い。







隊員１号。

元気で飛行機を操縦しているかな。

今日、君は

君の妹が住む家のはるか上空を飛んでいるかもしれないね。





ボクにも必ず君のところに行く日がくるよ。




その時は、君の操縦する飛行機に乗って

夕焼け空を飛ぼう。

そしてふたりで、黄金色に輝く地上を

見下ろすんだ。






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