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震災ゴミとか、開かない引き出しとか、そんなこと。








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姉が暮らす実家のある、石巻市大街道北近辺の

関東東北大震災の津波の被害は床上浸水だった。

家の倒壊や流失は免れたけれど

ほとんどの家が泥水に浸かった。

この泥水が非常に臭い。

臭いぬるぬるとした真っ黒な泥が、家の中のありとあらゆる場所に、

隅から隅まで入り込んで驚くほどだ。

家の中の泥なんて、完全に取り除くのは不可能だわと

絶望的な気分になるほど、泥との闘いはまだまだ終わらない。

泥水に浸かった家の中のものは

プラスチック製品や陶器以外の大抵のものが使えなくなる。

今月10日に帰郷した際には、実家の近くのゴミ集積場は

震災発生以降、ただの1度も災害ゴミの集積が行われずにいて

各家庭から出たゴミで巨大な壁が出来ていた。





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震災から1ヶ月経って、生活ゴミの集積は始まっていたけれど

震災ゴミの方は手のつけようがないらしい。

震災ゴミの巨大な壁は、家の片付けが進むにつれて

延々と成長を続けるのか、それとも集積が始まって

きれいさっぱり無くなって、元の静かな住宅街に戻るのか

次回に帰郷する際に、どちらに転じているか

想像すると、ちょっとワクワクする。

不謹慎かもしれないけれど

そのくらいの帰郷の楽しみが許されても良いような気がする。






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実家に残った数少ない家具のひとつが、茶の間に置いてあった茶箪笥だ。

茶箪笥の引き出しは縦に3つと、下部に横に並んで4つ。

その引き出しが開かない。

縦に並んだ引き出しのうち、一番上の引き出しの取っ手が取れてしまった。

皮肉なことに、取っ手の取れた引き出しだけが開いて

残りの6つの引き出しが開かない。

中に入っているのは、姉のお気に入りの

銘々皿やら湯呑み茶碗やら、ティーカップなど。






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「茶箪笥、使えないのにどうするの? 壊して食器だけ使うの?」


「ううん、このまま飾っておくの。」


「飾っておく…?」



「うん。 
 
 いつか、私が死んで孫子の代になったときに
 
 お祖母さんの茶箪笥に何が入っていたんだって
 
 開ける時がくるでしょう?
 
 壊して開けた時に、カップと一緒に泥水が流れてくるの。
 
 まだ見ぬ孫へのプレゼント。
 
 あの時の津波の泥水か~って、笑えるでしょう?」



「浦島太郎みたい。」




家の中の泥出しはまだまだ終わっていないし

床の張り替えや、傷んだ台所や洗面所・風呂場の修理、床下の消毒やら、

やらなくてはいけないことがまだまだあるけれど

義兄も甥も姉も、仕事が始まって忙しい日常が戻ってきた。



「浦島太郎の玉手箱の中身は津波の泥でした。」



うん、そうだね。

それも悪くないかもしれないね。











 

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