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やあ! ここにいたんだ。やっと会えたね。







やあ! きみ。

ここにいたんだ。





どうしてもきみに会いたくて

ボランティアセンターからの帰り道

疲れた身体を騙しながら

鳴瀬の町を車で走りまわったんだ。








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大きな地震と津波の遭った日、夜のニュースで

きみが行方不明になっているって聞いた時には

私の体中に衝撃が走ったよ。

震えが止まらなかったのを覚えているよ。

翌日の映像で、くの字に折れ曲がってメチャメチャに壊れた

きみの車体を見た時には、悲しくて涙が溢れたよ。






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私が生まれてから、8歳になるまでを過ごした家は

きみが走る線路のすぐ傍にあったんだ。

私は、きみのガタゴト立てる音を

子守唄代わりに聞いて育ったの。




18歳で故郷を後にする時まで

きみにはずいぶんお世話になったね。

上京してからも、石巻に帰る時には

仙台駅から、いつもきみにお世話になっていたね。





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何処に行くのでも

何をするのでも

きみがいないなんて、考えられなかった。

家族と、友人と、恋人と同じように

きみはいつでも近くにいたよ。






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だから、きみに会いたくて

きみを探して探して

野蒜を東名を駆け抜けて

鳴瀬川の堤防から

きみの姿を見つけた時には

たまらなく嬉しくて「やったー!」って

叫んじゃったよ。







行方不明の兄弟を探し当てた気分だったよ。







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くの字に折れ曲がって倒れ果てた

きみを見つけることは出来なかったけれど

夏草に埋もれた奇麗なままのきみに出会えて良かった。





全ての窓に貼ってあるステッカーは

震災以降に貼ってもらったものだね?

きみはひとりぼっちで

放っておかれてはいないんだね。







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私が最後にきみに乗ったのは

今年の1月の末のことだったよ。

父の七回忌の法事で、仙台駅からきみに乗って石巻駅で降りて

翌日に山下駅できみに乗って仙台駅できみと別れたんだ。

それ以来、半年振りだね。





あの日、3月11日は雪が降っていたよね?

梅雨が明けたよ。

もう夏だよ。

季節が変わったんだ。





いったいきみは、いつまでここで

息を潜めて隠れているつもりなんだい?








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